<システム紹介>千葉労災病院のRIS
当院の放射線情報システム(RIS)の紹介
千葉労災病院
放射線部

架間 一 先生
 
はじめに
 平成11年10月より当院で横河電機社製放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)が稼動しています。 このRISは当院での要望が十分に反映されたカスタムメイドとなっており、検査予約業務、受付業務、FCR撮影及び各種検査支援業務、 撮影情報記録業務、物品管理業務、統計処理業務と放射線部の業務を一通り支援する機能を有するが、中でも検査予約並びにFCR撮影支援に特色があります。 本報では当院RISの機能を、使用経験を交えて紹介します。

システム概要
●支援業務
 (1) 検査予約業務
 (2) 受付業務
 (3) FCR撮影、各種撮影及び検査支援業務
 (4) 撮影情報記録業務
 (5) 物品管理業務
 (6) 統計処理業務

●システム構成

     図1.システム構成

支援業務
(1) 検査予約
@ 検査予約業務
 予約カレンダー画面でカードリーダーまたは、手入力で患者ID番号を入力、検査の種類、撮影部位など検査内容選択すると、 カレンダー上に予約可能日が色別に表示されます。(図2)
図2.予約画面(画像をクリックすると拡大します)

A 予約可能枠検索の仕組み
 図3に、予約可能枠検索の概念を示します。
機器、依頼科、検査などのマスクといった複数のマスクをカレンダーの上に重ねていきます。 それらのマスクが重ならない部分が予約可能な日時となります。
図3.予約枠検査の概念図

B 予約機能の特色
 ・依頼科、入院/外来、検査の組み合わせ毎に予約可能枠を管理できます。
 ・予約テーブルで同時に3種類の異なる検査の予約が可能です。(図4)
 ・装置別検査待ち(キャンセル待ち)の予約登録、閲覧が容易に出来ます。(図5)
図4.複数予約画面
(画像をクリックすると拡大します)
図5.検査待ち登録画面
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(2) 受付業務
 受付画面(図6)にてカードリーダーまたは手入力でID番号を入力すると、予約済みの検査が表示され、該当する検査を選択することにより受付が完了します。 予約を必要としない検査の受付の場合は、外来・病棟・検査項目などを登録します。(図7)
図6.受付画面
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図7.受付登録画面
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(3)FCR撮影、各種撮影支援業務
 受付済みの患者は、X線撮影患者一覧に順次表示されていきます。撮影する患者を選択することにより実績登録画面(図8)に入り、撮影部位の確認、追加、 変更をした後、FCRのIDターミナルへ通信により撮影情報が渡されます。 撮影完了すると、IDターミナルより曝射条件・使用フィルムサイズ・枚数などの情報を受け取り、確認後登録します。(図9)
図8.X線撮影検査登録画面1
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図9.X線撮影検査登録画面2
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○IDターミナルの機能補完
 RIS側で複数の患者の選択を行え、撮影情報とともにIDターミナルへ送信できる機能を有します。これはIDターミナルでは複数の患者を選択できない点を 補っています。複数患者の撮影画面では、異なる科の複数の患者を表示し撮影部位の変更(追加、削除)も自由に行えます。(図10)
図10.複数患者X線撮影画面(画像をクリックすると拡大します)

(4)撮影情報記録業務
 FCR撮影以外で、MRI,CT,RI,ANGIO,透視撮影などの実績登録を行います。検査状況一覧で各装置別の患者一覧を表示でき、受付済みの患者には 「済」マークが表示されます。(図11)受付済み患者を選択すると、登録画面に入り撮影部位、フィルム枚数などの登録を行います。(図12)
図11.検査状況一覧画面
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図12.検査実績登録画面
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(5)物品管理業務
 RIの薬品、フィルムの在庫をそれぞれ管理できます。(図13,14)
RI薬品は核種別に使用量を月毎に計上でき、フィルムはサイズ毎に入出庫枚数を入力すると,撮影実績の使用枚数から残数を計上できます。
図13.RI薬品使用量一覧画面
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図14.フィルム在庫管理画面
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(6)統計処理業務
 業務統計の作成に必要な撮影の諸条件を撮影実績から自動抽出できます。(図15)
図15.業務統計作成画面(画像をクリックすると拡大します)

まとめ
 RISの導入により予約業務をはじめとして、撮影実績の登録など一連の撮影業務で効率化を図れ、煩雑であった作業がかなり簡素化されました。 しかし、当院ではまだオーだリングシステムが稼動していないため、従来の伝票処理の業務も残っており、「業務の重複」といった問題が残っています。 (撮影後RISに実績登録するが、伝票記入も行う) この点を解消するために病院全体のネットワークの確立、HISーRIS連携によるオーダーリング化の実現 が待たれます。